見た目はクレヨンやクレパスと似ていますが、表現や描き心地の異なる画材のパステルを使って絵を描いてみました。柔らかく優しいタッチで描けるパステル。その特性を生かして絵を描いてみました。スティック状のパステルではなく、粉をスポンジにつけて描くパンパステルの紹介もします。
パステルとは何か
パステルとは顔料を少量の粘着剤で固めた画材です。パステルを使って描くと、粉っぽいな、紙に付着しにくいな、ということに気付くと思います。それは、クレヨンやクレパスと違って、油やワックスを使っていない画材であるからです。パステルは重ね塗りができませんが、粉状に削ったパステルは混色が可能です。また、普通に描くとザラっとしたタッチになりますが、スポンジや綿棒などで擦れば柔らかなタッチを出すことが可能です。
パステルの種類
パステルは、主にハードパステルとソフトパステルに分かれていてそれぞれ違いがあります。一般的に学校では、初心者が扱い易いハードパステルを使うと思います。一方、パステルアートと言われる美術の分野では、主にソフトパステルを使うというように認識されています。
ハードパステル
●細かい描写ができる。
●硬くて割れにくい。
●粗めの紙でないとしっかり描けない。
ソフトパステル
●滑らかな塗り心地で描ける。
●柔らかく割れやすい。
●色数が多くて発色が綺麗。
パステル画で使う紙
パステル画は、表面が凸凹した色付きの画用紙で描くのがおすすめです。パステルの粉が付着しやすいように、ある程度表面にざらつきのある画用紙を選ぶ必要があります。また、紙の色は、中間色のグレーくらいがよいです。パステルは明るい色の発色がすごく綺麗なので、下地に色がある状態で光を描き起こすような描き方をすることに向いています。もちろん白い画用紙に描いてもOKですが、パステルは粉であるという性質上、塗ってもどうしても下地が残ってしまうため、下地の白を残したくない場合は、あらかじめ水彩絵の具などで色を塗っておくといいです。
パステルで細密画を描く
色のついたワトソン紙に、白と黒のハードパステルで石膏像を描いてみました。こちらの絵は、中間色を画用紙のグレー、明るい部分を白、暗い部分を黒で描き分けて、立体感を表現しています。描くものを決めたら、色の計画をして画用紙を選ぶことが大事です。
パステルの注意点
パステルは粉ですので、非常に汚れ易いです。机や服などをしっかりカバーして作業するのがおすすめです。また、顔料を扱っているので、粉を吸い込まないようにマスクをつけて描くのが理想です。描き終わった後は、パステルは色が落ちやすいので、定着液であるフィキサチーフを最後にかけることが必要になります。
新しいパステル画材のパンパステル
パンパステル(panpastel)というパステルがあります。ケースの中に入った粉状の顔料を、専用のスポンジで取って塗って着色する画材です。一般的なパステルと比べると、微粒子で伸びがよく、発色がよいのが特徴です。
従来のパステルとの違い
●絵の具のような滑らかな塗り心地。
●粉が紙にしっかり付着する。
●消しゴムで簡単に綺麗に消すことができる。
●紙の上で混色ができる!
●発色がよくて色が非常に綺麗!!
パンパステルの使い方
「スポンジで粉を取ってスポンジで塗る」という使い方をします。まるで化粧品のパウダーを塗るような感じです。鮮やかで美しい色を滑らかに着色することができます。とにかく描き心地がよくて、絵の具をスッと塗るような感覚で描けます。描き間違えても練り消しやプラスチック消しゴムでの修正が可能です。混色は紙の上でできます。粉と粉をスポンジで混ぜることで微妙なニュアンスの色を表現できます。
パンパステルで空を描く
パンパステルはもちろん何でも描けますが、紙にピタッと色がつくので、このピタッと感は特に空を描くのにとても向いていると思います。(微妙な色のまざり合いも繊細に表現できますし。)手前の木々や建物を別の画材で描き分けるなどしてもいいかもしれません。色んな画材との組み合わせで無限の表現ができそうですね。
夕焼けの黄色い空の色をベースに、赤から青までのグラデーションを作ってみました。雲の影には紫や青を混ぜたり、雲の光を受けている部分は消しゴムで消して白くするなどして描いていきました。遠景の山を描くのに必要な緑色のパステルはなかったのですが、青のパステルと黄色のパステルを混ぜることで表現することができました。