初心者のデッサンのすすめ方

初めてデッサンをする方に、描くモチーフ(対象物)の順序のアドバイスです。初めから複雑な形状&質感のモチーフを描くのではなく、まずは基本的な形状を描けるようになってから段階を経て描いていくのをお勧めします。また、静物デッサンも石膏デッサンも、同時にバランスよく習得していくのがよいと思います。


静物デッサンの習得順序

①幾何形体をデッサンする

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一番最初は、立方体、円柱、円錐、球、など最もシンプルな幾何学形態をデッサンするのがよいです。最も基本的な形状で、基本的な陰影の付き方を観察し学ぶことが大切です。また、質感は、映り込みの強いガラスとかではなく、反射の少ない素材でできているモチーフを選びます。石膏像の素材が理想ですが、そのような物はなかなか手に入らないので…100円ショップで売っている発泡スチロールの立体物や、積み木などがよいかと思います。

立方体をデッサンする
円柱をデッサンする
球体をデッサンする


②幾何形体を基本にしたシンプルなモチーフをデッサンする

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シンプルな形と色の静物を選んでデッサンしてみます。ティッシュ箱や小物入れの箱(立方体&直方体)、レモンテニスボール(球)など、①の基本形状がベースにあるモチーフをデッサンするのがお勧めです。特に工業製品は幾何形体が多く、左右対称で形に歪みのない形をしているのでデッサンしやすいモチーフとなります。多少の模様が入っているのはOKですが、色の濃い模様が大きくたくさん入っているものは、形状の陰影感を阻害してしまうのでおすすめしません。陰影表現で、物の形や重量感をしっかり出せることが重要です。


③様々な質感や色をもつモチーフをデッサンする

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基本的な形状を陰影のみで立体的に描けるようになったら、複雑な形をしていたり、変わった素材や色をもつモチーフを描いてみます。皴のあるタオルやバッグ、ツルツルした据え置き型の鉛筆削り、黒い鍋など…様々なものを描いてみます。ここで、質感や色によって鉛筆を使い分ける必然性を学びます。複雑な形をした人間の顔や手などのデッサンもトライしてみましょう。

手をデッサンする


④ガラス瓶、缶など、反射や映り込みの強いモチーフをデッサンする

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基本的な陰影や質感表現ができるようになったら、反射率の強いモチーフをデッサンしてみます。ガラスやアクリル、水などは、物体そのものの量感を出しながら周囲の物体の映り込みの表現をするのが非常に難しいです。よく観察して特徴を掴んでみて下さい。

静物デッサンで質感を描き分ける


石膏デッサンの習得順序

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①面取りされた石膏像をデッサンする

立方体、球など、最も基本的な幾何学形態の石膏があれば、そちらを最初にデッサンしてみましょう。次に、大顔面像、アグリッパ、ミロのヴィーナスなどの面取り像をデッサンするのがよいです。面取り像とは、複雑な人物の顔を大まかに分割したもので、陰影の付き方を理解しやすくしたものです。

ちなみに…3DCG(コンピューターグラフィックス)の世界では、基本的に点と線の情報で形状を作成していくので、この捉え方がとても重要となります。基本的な骨格を捉えてから→細部の情報を加えていくというのは造形の基本となります。

立体物を点と線と面でとらえる


②頭像の石膏像をデッサンする

細かく複雑な形状をした頭像をデッサンします。細かい凹凸に目が行きがちですが…面取り像のデッサンのように、まずは全体の大まかな形状を陰影で捉えてから、細部の陰影を描いていきます。手前から奥までの各パーツの位置関係に注意し、前後感に狂いのないように描写することにも気をつけてください。


マネキン人形の頭部をデッサンする


③全身の石膏像をデッサンする

頭から足までの全身像をデッサンします。頭像の時よりも、さらに全体感を意識して描き始めます。体の大きな動き(流れ)を踏まえて、筋肉や布を描写していきます。最初は基本的な裸体の像(ミロのヴィーナス、うずくまるヴィーナスなど)→布をまとっていてかつダイナミックな全身像(サモトラケのニケなど)を描いていくとよいと思います。

サモトラケのニケは…凄く力強くてかっこいい像です!描くときっとテンションが上がります。ミロのヴィーナスもサモトラケのニケも、本物の像はルーヴル美術館にあります。現実の人間よりかなり大きなサイズの彫刻で凄く迫力があります。また、これらの原寸大のレプリカの石膏像は存在しますが、かなり高価なので、美術の予備校や大学などに行かないとなかなかお目にかかれないです。


家に置いていても邪魔にならないサイズの石膏像も、色々と販売されています。上の写真にあるミロのヴィーナスの全身像は、ユザワヤで購入できました。


初心者の方は、とにかくたくさん描くことが大事です!何度も描いて鉛筆の特徴を知り、様々な表現方法を見つけ出して下さい。そして、達人のデッサンをたくさん見ることも重要です!Yutubeなどで公開されている上手なデッサン動画を見て、描き方の大切なポイントを掴んでみて下さい。

美大・芸大受験について

デッサンを学ぶ

         
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