「色相」「明度」「彩度」の三要素のうち、「色相」に着目して、美しい!と思う配色のポイントをまとめてみました。色彩センスをアップするには、「美しい!と思うモノ(風景、写真、映像等々)をたくさん見て自分のモノにする」ことが大切ですが、美しい配色には一般的に言われている法則がありますので、ご紹介します。
色相環の流れに沿った配色をする
色相環における色の流れは、黄色⇔オレンジ⇔赤⇔紫⇔青色⇔緑⇔黄色となっています。いわゆる虹色の流れです。
色相環の色の流れに沿った配色を行うと、「心地よい、滑らか、自然」というような印象になります。
●イラスト・絵画「6月のエイミー☆pearl」を描きました。
一方で、色相環の色の流れを無視した配色を行うと、「ちぐはぐ、エキセントリック、刺激的」というような印象になります。(↑宝石の色はバラバラだけど、宝石の下地のベースは同じ色なので、何とかまとまって見える…とも言えますが。)
●イラスト・絵画「エイミーのクリスマスドレス」を描きました。
例:————————————————————————
黄色⇔オレンジ⇔赤⇔マゼンダ⇔紫 …(*^-^*)美しい!
黄色⇔紫⇔緑⇔赤⇔シアン …( ゚Д゚)!?
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青色⇔シアン⇔緑⇔黄色 …(*^-^*)美しい!
青色⇔黄色⇔紫⇔緑⇔赤 …( ゚Д゚)!?
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緑⇔黄色⇔オレンジ⇔赤⇔マゼンダ …(*^-^*)美しい!
緑⇔赤⇔シアン⇔黄色⇔紫 …( ゚Д゚)!?
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※もちろん、美しいかどうかはさておき、「インパクトの強いビジュアルを作りたい」というような別の目的がある場合は、色相環の色の流れをあえて無視した配色にすることもあります。時と場合に応じて使い分けます。
主役色が引き立つ配色をする
メインカラーの美しさを引き立たせるための色を使う
色の美しさというのは比較で見えてくるものです。画面や画用紙を舞台とすると、主役の色(メインカラー)をより美しく印象的に見せるには、主役を引き立てるための脇役の色(ベースカラーやアクセントカラー)を隣に添える、もしくは背景に据える、といったことが重要になってきます。
例:メインカラーが「赤&緑」のクリスマスのイラスト
赤と緑が目立つように、背景には、2色の反対色に近い青紫の色彩を使ってみました。(背景にはオレンジ系も使っていますが、こちらは彩度を落として茶色っぽい濁色にして目立たないようにしています。)
※反対色とは、色相環で真逆に位置する色(補色)とその近くの色です。
メインカラーとベースカラー(メインカラーの類似色)+アクセントカラー(メインカラーの反対色)=9:1くらい
一般的に、1つの画面に対して、おおよそ上記のカラーバランスで色をまとめるとよいとされています。(ネットでは、90.5% : 0.5%の比率がよいとする記述が多いですね。)イラストや絵画の配色に限らず、インテリアデザインファッションデザインやWebデザインなどの分野においても同じようなことが言われています。
例:海をテーマにしたイラスト
メインカラー:水色
ベースカラー:黄緑色⇔青緑⇔青色⇔青紫
アクセントカラー:赤色
メインカラーの水色に対してポイントでアクセントカラーに赤色を入れました。もし青系の色だけでまとめてしまうと、平凡でつまらないビジュアルになってしまいます。水色の反対色である赤色のアクセントカラーを入れることで絵が引き締まり、インパクトが生まれます。また、それは同時に、水色から赤色までといった使う色幅を広げられるという効果を得ることになります。
海の色には青緑から青紫までの色幅をもたせており、光を受けている部分には、高明度の黄色や黄緑色を使っています。←これらの色は、水色と赤色をつなぐ存在の色となっており、絵に色彩の豊かさをもたらしています。
水色⇔黄緑色⇔黄色⇔赤色⇔青紫⇔青緑⇔水色
●イラスト・絵画「3月のエイミー☆aquamarine」を描きました。
色数を増やして色彩を豊かにする
色数を増やして的確な色の配置がなされれば、絵の色彩の密度や精度といった面での美しさは高まります。(もちろん、少ない色数でも、的確な色を的確な割合で的確な場所に配色すればスッキリと美しく見えますが。)
多彩な色を扱う場合も、色の流れを意識する
例:春をテーマにしたイラスト
色数が多くてわかりずらい作品ですが、メインカラー、ベースカラー、アクセントカラーは以下のようになっています。
メインカラー:ピンク
ベースカラー:オレンジ色⇔赤⇔紫
アクセントカラー:緑色
カラーパレットにある色を全色使ったとしても、色相順に細かく色を並べればまとまりのある絵になります。また、着彩する面積の大きさにメリハリをつけるのも重要で、大きな面で色相のグラデーションを作ったり、小さな面で色相のグラデーションを作ったりすることを組み合わせて全体でバランスをとるのもポイントとなります。
大胆な色の構成の中に繊細な色相の流れを入れる
例:
メインカラー:青色
ベースカラー:青紫、紺色、灰色
アクセントカラー:赤色
メインカラーの青色に対して反対色のアクセントカラーである赤色も画面の大きな割合を占めている場合の絵です。一般的なカラーバランスから逸脱しており、反対色(青色と赤色)からなる大胆な色彩構成をしてます。が、二つの色を繋げる「青⇔緑 水色⇔黄色⇔オレンジ⇔赤」と「赤⇔紫 ⇔青」という色相の流れを、全体や細部にちりばめているので、色彩豊かでありつつ自然なまとまりのある絵として見えるようになっています。
●イラスト・絵画のメイキング …各ビジュアルの色彩計画についても載せています。
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