立体物を点と線と面で捉える

絵を描く際の、立体物の基本的な捉え方についてご紹介します。デッサンの描き方の基本となる考え方についてです。どんなに複雑な形状をした物であっても、基本的なポイントを押さえればとても描きやすくなります。


立体物をシンプルな幾何形体でとらえる

物を描くとき、まずは対象物を大まかな形状でとらえましょう。物の骨格を見いだして、簡単な幾何形体に置き換えて考えると描きやすいです。

宝箱は、直方体+円柱半分で成り立っている

「直線的な立体物の上に、筒状で円弧のある立体物がのっかっている」ととらます。(飛び出した鍵のことは考えません。全体から見れば些細な凹凸形状なので。)

三段重ねのケーキは、3つの円柱で成り立っている

「大中小で大きさの異なる筒状の立体物3つが中心軸を同じにしてのっかっている」ととらえます。(フルーツなどのデコレーションのことは考えません。全体から見れば些細な凹凸形状なので。)

装飾的で付属的な細部の形状はまず無視します。対象物の基本構造を一番最初に認識すること大切です。


2017-solid01

立体物を点でとらえる

こちらはミロのヴィーナスの石膏像。このように、すごく細かくて複雑な形のものは、どのように立体感をとらえればいいでしょうか?

では、まず、大まかな形状に置き換えて考えてみましょう。右側にあるのが面取り像です。立体物は、点、線、面でできています。面と面の境には線があり、線と線の境には点があります。最もシンプルな位置情報が「点」よって、絵を描く時は一番最初に、形状の変わり目となる「点」の位置を正確にとらえることが重要となります。


2017-solid02

立体物を線と面でとらえる

点と点をつなぐとができ、線と線をつなぐとができ、面と面をつないで立体ができます。できた立体にを当て、面に陰影をつけると立体感が生まれます。そして、できた面をさらに細分化して分けていくと、丸みを帯びた滑らかな形状に見えてくるというわけです。

立体物の立体感を出す際は、陰影の変わり目となる「線」を意識して「面」の濃度を正確にとらえることが重要になってきます。描く際の順序としては、最初に大まかな面で陰影をとらえ、最後に細かな陰影を調整していくのがセオリーです。


を意識した陰影の描き方の参考にして下さい↓
「イラスト・絵画」キツネの絵を描きました。
リアルで美しい手の描き方
マネキン人形の頭部をデッサンする


最初の三段重ねのケーキ。円柱形状でがありますが、これも、最初は基本的な形状である四角としてとらえましょう。中心から90度に四分割してポイントとなる位置を定めて弧を描いていけば、きれいに円の形状が描けます。

円柱をデッサンする
球体をデッサンする


2017-solid04動物のラフスケッチです。有機的な形状を、大まかな幾何形体に置き換えて形状をとらえてみました。物の表面だけでなく、隠れて見えない部分も、どこにどのようにくっついているのか考えて描いていきます。ここでデッサンの狂いがないか確認した後に細部を描き進めていくと、絵の精度が上がります。

3DCGソフトで立体を作ってみる

立体の概念をつかむには、三次元のコンピュータグラフィックスのソフトを使って立体造形をしてみるのが一番手っ取り早いです。3Dソフトを使ってみると、点と点で結んで線を作り、線と線で立体を作る、そしてできた立体にライティングして可視化するという一連の流れがよくわかります。また、3Dソフトを使っていると、物を三次元で捉える考え方が身につくので、絵を描く際に画力の上達にもつながります


立方体と円柱と球で世界を描く


魅力的な絵を描くには何より感性が大切ですが、絵に説得力を持たせたい場合は時に論理も必要…というお話でした。

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